| ■ハリマウスを作るきっかけとなったもの | 
                       
                      
                        【こだわりの一品】 
                         工作が好きでいつもいろんなことを想像しています。 
 
                        小型のシール貼付器を考えていたときでした。妻がそれを見て「おとうさん、それでテープが貼れたらいいね」と言った。そう‥‥「そんなものがあったら便利かも知れない」たしかに小型でポケットにも入り、いつでも取り出せサッとテープが貼れたらすごいかも知れない。と、そのときからそう思うようになり、それからはいつもひまさえあればハリマウスのことを考え続けました。 | 
                       
                      
                        | ■クリアしないといけないこと | 
                       
                      
                        【構想はこうだった】 ①テープリールからテープを引き出すにはある程度の力が必要です。 
                        テープの貼り始め時にテープの先端が貼付面に少しの面積しか接着されていないと、リールからテープを引き出す時の引出し力に接着面の接着力が負けて、貼付面上をテープが滑り、リールからテープを引き出す力が得られず後続テープを引き出せなくなります。このことを防ぐため、貼り始め時にテープを貼付面上に突出させることにより、テープの貼り始め時の失敗をなくすようにしよう。 
                         
                        ②テープ台からテープを切り取るときを想像してもわかるようにテープを切断するにはかなりの力が必要なのです。小さなハリマウスでは、テープを切るとき、大きな力を使うことは無理ことなので、どうしても小さな力でテープを切断する方法を考えないといけない。 
                         
                        ③全ての操作が単純でないといけない。紙に押しつけ後方に引くとテープが貼れ、貼り終わり位置で紙から放すだけでテープが切れないと製品としてはモノにならない。 
                         
                        ④構造を簡単にしなければダメだ 
                         
                        ⑤テープの入れ替えや他の面でも使いよい製品にしよう。 
                         
                        ⑥スタイルが良くて美しいデザインでキレイなカラーとネーミングはなじみやすいものでないと世の中には受け入れられない。 
                         
                         
                        ①~⑥すべてをまとめたものをつくろう、それを達成するには? 
                        まず、ハリマウスの先端を貼付面に押し当てたとき、テープの先頭を貼付面方向に余分に突出しておき、ある程度貼付面上溜置きするようにし、そのままハリマウスを背後に引くと、まず最初に溜め置きされたテープを先端の押圧ローラが貼付面にしっかり接着する。さらにハリマウスを引いていくと、先ほど貼付面に貼られたテープの接着力を使ってテープリールからテープを繰り出すことが出来、次々とテープが貼られていくわけです。目的のところまでテープが貼れるとあとは貼付面からハリマウスを放すだけでテープが切れるようにしよう。 | 
                       
                    
                   
                   
                   
                   
                   
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                        | ■構想は立派だったがそううまくはいかない | 
                       
                      
                        【テープが出せない】 
                        いざ始めてみるとそうはいきません。まずテープを引き出す方法が問題、いろんな方法を考えたがどれも複雑で大がかりになるだけでした。 
                        次にテープを貼付面上に思った形に溜め置きすることが出来ないため、テープの先を押圧ローラで踏みつけることが出来ず、テープを貼り始めることが出来ないのです。 
                        また最初どのくらいの長さのテープを送り出せばよいのかも、問題になりました。 
 
                         
                        【テープが切れない】 
                        カッターナイフの刃を削って切断刃を作るがいざやってみるとテープを前に押し出すだけで何も起こりません。 
                        「ハリマウスを貼付面から放すことでテープが切れるようにしたい」それは小さな力でテープをカットしなければいけないということでした。 
                        小さな本体の中にテープを切断するためにも複雑な機構は備えられないしテープを切るためには幾分のテンションをテープにかけておき、素早く切らないといけないが、実際はギザギザカッターでテープを切ることを想像してもわかるようにとんでもない力が必要なのだ‥‥とにかくこの小さな本体の中には、どうしてもテープを切る弱い力と単純な機構しかしか使えないのです。 
 
                         
                        【テープを自動でカットすること】 
                        「テープを切る」などの操作は作業効率を飛躍的に下げてしまいます。テープが貼り終わったあとは自然とテープが切れているようにするのが最低条件でした。 
                        少ない力でテープを切断出来るように、刃の進行方向中央が鋭い刃が突出す形になるように、三角形の2枚の刃を向き合うように対象に配置し、しかも刃の先端を鋭くとがらせたカミソリのように切れ味のよい刃を提案しました。これに関しては切断刃の製造工程から考え直し、よく切れる刃をつくり、まずはテープの真ん中を三角形の刃の先端が突き刺し、小さな穴を開けます。その後助々に両脇を切り裂くようにして切断力を時間的に分散し切断する方法を取りました。とにかく刃先の切れ味が命だったのです。 
                         
                         
                        【コンパクトに全てをまとめる】 
                        これら全ての機能をコンパクトにしかもより簡単な機構により収納し、内部を簡単に開けられるなど、使い良さも徹底的に追求しました。そしてパーツひとつにしてもスタイルのよいデザインにこだわり、本体をほんの0.5㎜を小さくするためにもまた、10回に1回の貼り始めと切断の失敗もなくすためにも、何度も設計と試作とをやり直しました。とにかくデザインと機能、使いやすさが大切なのです、そして金型が製作しやすく、少ないパーツで構成させることにもかなりの時間と労力を費やし幾度も改良を加えてやっと完成させました。 
                        ハリマウスの開発にあたり多くの人々が力を与えて下さいました、そしてなによりも、なんでもあきらめず何度も何度も時間をかけて考え、そして作り続けることが大切と感じました。将来はホッチキスやカッターナイフと同じように[文具の必需品]として人々に愛用され、一人1個ハリマウスを持つ時代が来ることを信じて様々なハリマウスを提案していきたいと思います。 | 
                       
                    
                   
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